「光る君へ」に登場する紫式部と清少納言の関係図をまとめてみました。
「光る君へ」では、紫式部のモデルであるまひろを吉高由里子さん、清少納言のモデルのききょうをファーストサマーウイカさんが演じていらっしゃいます。
「光る君へ」においてはまひろとききょうは対面を果たしますが、実際は紫式部と清少納言は面識はないのではないかと言われています。
ですが、面識はないものの、紫式部は清少納言のことを快く思っていなかったようです。
2人の関係について、詳しくご紹介させて頂きます。
「光る君へ」紫式部と清少納言の関係図を紹介！
「光る君へ」に登場する紫式部と清少納言の関係図をまとめてみました。
清少納言は、一条天皇に入内した藤原道隆の娘・定子に女房として仕えており、一方の紫式部は藤原道長の娘・彰子に仕えていました。
清少納言の仕える定子と紫式部の仕える彰子は、従姉妹の関係でありながら、共に一条天皇の后。
そしてその裏では、定子の兄・藤原伊周（三浦翔平）と彰子の父・藤原道長（柄本佑）が関白の座を巡って権力争いを繰り広げていたこともあり、
清少納言と紫式部は、自身の主君である定子・彰子が一条天皇に気に入られるように、和歌や漢詩などの教養を熱心に指導していたのです。
「光る君へ」まひろとききょうは対面！でも紫式部と清少納言は面識がない？
「光る君へ」では、紫式部をモデルとするまひろと清少納言をモデルとするききょうは対面しますが、実は、紫式部と清少納言は面識がなかったのでは？と言われています。
紫式部は一条天皇に入内した藤原彰子に、また、清少納言についても一条天皇に入内した藤原定子に女房として仕えており、共に宮仕えをしているものの、その年代は異なっているのです。
藤原定子が一条天皇に入内したのは正歴元（990）年。
清少納言が宮廷に出仕したのは、正歴3（993）年から長保2（1000）年の間であると言われており、
清少納言は、自らが仕えた中宮定子が長保2（1000）年に亡くなって以来、一度も出仕することがなかったとのこと。
それに対し、藤原彰子が一条天皇に入内したのは長保元（999）年であり、紫式部が彰子の元で宮仕えを始めたのは、寛弘2（1006）年、もしくは寛弘3（1007）年ではないかと言われていて、
紫式部と清少納言が宮廷に出仕していた時期が異なっていることから、2人は対面する機会がなく面識もないのでは？と考えられています。
| 宮廷への出仕時期 | |
|---|---|
| 清少納言 | 993年～1000年 |
| 紫式部 | 1006（もしくは1007）年～1012年頃 |
ちなみに2人の年齢差は10歳前後と見られており、清少納言が紫式部よりも年上です。
「光る君へ」紫式部は清少納言が嫌いだった！？
出仕の時期が異なっているものの、清少納言と紫式部は、それぞれの主君を天皇に気に入られるような女性に成長させるべく教育する立場ゆえ、言わば一条天皇からの寵愛を巡る間接的なライバル関係であるとも言えます。
このこともあってか、紫式部は清少納言のことを快く思っていなかったようで、「紫式部日記」にはこのような記述があります。
「清少納言こそ、したり顔にいみじう侍（はべ）りける人。さばかりさかしだち、真名（まな）書き散らして侍るほども、よく見れば、まだいと足らぬこと多かり」
紫式部日記
現代語に訳すと・・・
清少納言ときたら、得意顔で偉そうにしていた人ですね。あれほど利口ぶって漢字を書き散らかしていますけど、その（学識の）程度も、よく見るとまだ随分足りないことが多いです。
また、続いてこのような記述も・・・
「かく、人に異ならむと思ひ好める人は、必ず見劣りし、行末うたてのみ侍るは。艶になりぬる人は、いとすごうすずろなる折も、もののあはれにすすみ、をかしきことも見過ぐさぬほどに、おのづから、さるまじくあだなるさまにもなるに侍るべし。そのあだになりぬる人の果て、いかでかはよく侍らむ」
紫式部日記
現代語に訳すと・・・
こんなふうに（自分は）人とは違って優れていると思いたがる人は、（やがて）必ず見劣りし、行く末は悪くなるだけでございます。
風流ぶるようになってしまった人は、ひどく寂しくつまらない時であっても、しみじみ感動しているように振舞い、趣のあることを見逃さないようにすることで、自然と、そうであってはならないおかしな態度をとるようになるでしょう。
そのあってはならない態度をとるようになってしまった人の最期が、どうして良いものとなりましょうか。
紫式部は、「知識をひけらかしているけれど、大したことはない」「博識ぶっていると、最後は痛い目に遭う」などと、清少納言のことを痛烈に批判しています。
「紫式部日記」のこの記述から、紫式部は清少納言のことを快く思っていなかったことは明白です。
ただ、清少納言が書いた「枕草子」の中には紫式部の記述はないため、紫式部が一方的に清少納言のことをライバル視していたと考えられています。
「光る君へ」紫式部が清少納言を嫌う理由はその性格の違いから？
一条天皇からの寵愛を巡る間接的なライバル関係だった紫式部と清少納言ですが、直接的なかかわりがなかったものの、ここまで紫式部が清少納言を嫌う理由としては、2人の性格の違いも関係あるように思えます。
清少納言の性格
清少納言の記した「枕草子」には、幼少期に身に付けた漢詩の知識を組み入れた内容や、漢詩の知識を用いての男性貴族との交流について書かれています。
この時代には、漢詩は男性が身に付けるべきものであり、漢詩の知識を持つ女性は生意気ではしたないとされ、非難の的になったことから、
自らの漢詩の知識を「枕草子」の中にちりばめた清少納言は、周囲からどのように思われるかなどを気に留めることない性格であったと思われます。
また、「枕草子」の中に記されている男性貴族とのやり取りからも、陽気なうえ負けん気の強い人物であったことがうかがえます。
「枕草子」の中に書かれてある男性貴族とのやり取りについてはこちらの記事に詳しく書いています↓
「光る君へ」藤原斉信（はんにゃ金田哲）とは？家系図や清少納言との関係を紹介！
「光る君へ」藤原行成（渡辺大知）とは？家系図と清少納言との仲良しエピソードを紹介！
紫式部の性格
自らの漢詩の知識を「枕草子」の中にちりばめ、自らの知識の高さを披露した清少納言に対し、
漢詩の知識を持つ女性は生意気ではしたないとされていたことから、紫式部は主君である彰子が漢詩に興味を持った際には隠れて教えていたとのこと。
また、宮中において紫式部は、漢字など書けず屛風の漢詩も読めないふりをするなど、なるべく目立たないように振舞い、決して人前で知識をひけらかすことはなく、常に謙遜していたようです。
このことからも、紫式部と清少納言は正反対の性格であったことがうかがえ、
清少納言が周囲からどのように思われるかなどを気に留めることない性格であったと思われるのに対し、紫式部は周囲の目がとても気になる性格であったことが分かります。
相反する性格ゆえに、面識がないながらも紫式部は清少納言のことを好きになれなかったのだと思われます。
しかしながら、もしかすると紫式部の中には、清少納言の周囲からどのように思われるかなどを気に留めることない性格が羨ましいと思う気持ちがあったのかもしれません。
まとめ
「光る君へ」に登場する紫式部（まひろ・吉高由里子）と清少納言（ききょう・ファーストサマーウイカ）の関係図をまとめてみました。
紫式部の仕える藤原彰子と清少納言の仕える藤原定子はともに一条天皇の后であることから、紫式部と清少納言の2人は天皇の寵愛を巡る間接的なライバル関係だと言えますが、
実は、宮中への出仕の時期が異なっているため、紫式部と清少納言には面識がなかったのではないかと考えられています。
2人の間に面識はないながらも、紫式部は「紫式部日記」において清少納言のことを痛烈に批判しています。
自らの知識の高さを「枕草子」にて表現した清少納言のことを、決して人前で知識をひけらかすことのない紫式部は快く思っていなかったようです。
ですが、もしかすると紫式部は、清少納言の明るく社交的で周囲の目をあまり気にしない性格が羨ましかったのかもしれません。
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